野球ボールの重要な素材『羊毛(ウール)』とは?
野球ボールの製造において重要な材料のひとつが羊毛(ウール)です。
ウールは野球ボールを構成する素材の中でもっとも大きな比率を占めています。
その為、ウールがボールに与える影響は大きく、ウールの質や含水率、製造における扱いなど細かく管理をしないと高品質な野球ボールを作ることはできません。
その中で、こちらの記事では、ウールの種類について簡単に説明いたします。
まず、説明に入る前に野球ボールと一口に言っても数種類のグレードがあることはご存じでしょうか?
練習球を始め、リトルシニア、高校野球、大学野球、社会人、プロなど使用する用途によって野球ボールには種類があります。もちろんサイズや重さなどの規格は全て同じであり、見た目も同じですが、何が違うのでしょう。その違いの一つにウールが挙げられます。
野球ボールのウール「天然ウールと再生ウール」
まず大きな違いとしてウールには天然ウールと再生ウールが存在します。
天然ウールは純粋に羊毛を指します。一方、再生ウールは一度羊毛を使用し加工された製品(セーターなど)を毛糸として再利用したウールを指します。
当社では各グレードに応じて、100%天然ウールだけを使用したボールを始め、天然ウールと再生ウールを組み合わせたボールや羊毛の純度が高い再生ウールのボールなど数種類ご用意しております。その差によってグレードが分けられています。
では、天然ウールを使用したボールと再生ウールを使用したボールはどのような違いが生まれるのでしょうか。
天然ウールと再生ウールの違い
実際に製造されたボールを比べるといくつかの違いが存在します。その違いのひとつに耐久力が挙げられます。
天然ウールは繊維がしっかりしている為、糸自体に耐久力があります。
一方で再生ウールは毛糸自体の耐久力が天然ウールと比べ劣るので、毛糸への加工の段階で補強するために、ポリエステル繊維やアクリル繊維などとの混紡が必要になることもあります。
その為、ウールの耐久性・弾力性は天然ウールが勝るので、天然ウールを多く含む野球ボールはバットで打った後のボールの復元力が高く、強い打撃によってつぶれたボールもすぐに復元しやすく、変形しにくいボールとなります。
一方、再生ウールは天然ウールに比べて安価なことが大きなメリットです。天然ウールは羊を育てるために多くの資源を必要とするのでコストがかかります。一方、再生ウールはリサイクル素材のため、原料のコストや時間を大幅にカットできるのです。そして、環境にもやさしく、ごみを出さないサステナブルの観点でも非常に有効です。
また、一般的な再生ウールの欠点として、服などに加工する際は再生ウールは染色ができない為、使用しづらいと言われますが、野球ボールへ加工する場合は内側の見えない部分に使用する為、欠点とならない点も相性が良いと言えます。
以上のように、野球ボールの素材であるウールにも種類によってメリット・デメリットがあります。
上記以外にもウールの違いが野球ボールに与える影響や製造する上で当社が注意するウールの扱いなど、意外と奥の深い野球ボール製造についてのお話がありますが、またの機会に記述させて頂きます。
ここまでご精読いただき、有難うございました。
当社では、野球ボール製造の技術や素材を活用した雑貨を製造・販売しております。
是非、ECサイトよりご確認ください!
Comments